金魚を解剖する小学生がいました。なぜ金魚は水の中を自由に泳げるのか、その仕組みを知りたくて、幼い手で慎重に観察を進めていきます。
この少年こそが、後に東京大学の教授となり、パンダの「第七の指」を発見することになる遠藤秀紀さんその人でした。
2023年、遠藤秀紀さんは科学者としての顔に加え、第44回小説推理新人賞を受賞する小説家としての一面も見せています。
本記事ではそんな遠藤秀紀さんのプロフィールや学歴、結婚相手から経歴に至るまで、多彩な能力に秘密に迫って行きます。
- 遠藤秀紀さんのプロフィール
- 遠藤秀紀さんの学歴(中学・高校・大学)
- 遠藤秀紀さんの家族(結婚相手・子供)
- 遠藤秀紀さんの経歴
- これまでの活動
- 今後の予定
遠藤秀紀(東京大学総合研究博物館)です。11月24日(日)に水族館の本屋さんで、「命がつくるかたち」のお喋りをします。ぜひお目にかかりましょう。↓https://t.co/2fUo1jpVue
— 遠藤秀紀 (@endohideki) November 15, 2024
異能の比較解剖学者、遠藤秀紀さんについて興味のある方は、是非ご覧ください。
遠藤秀紀さんのプロフィール
- 生年月日:1965年4月21日
- 年齢 :59歳(2024年時点)
- 出身 :東京都
- 現職 :東京大学総合研究博物館教授
幼い頃から周囲の大人を驚かせる好奇心の持ち主だった遠藤秀紀さん。おもちゃの電車を分解しては組み立て、生き物を観察しては素朴な疑問を投げかけていました。その姿は、後の比較解剖学者としての片鱗を既に見せていたのかもしれません。
印象的なのは、小学生時代の金魚解剖のエピソード。多くの子供が金魚を単なるペットとして眺めるなか、遠藤少年は「なぜ泳げるのか」という本質的な疑問を持ち、自ら解明しようと試みたのです。この探究心の原点が、現在の研究スタイルにも色濃く反映されています。
「博士ちゃん」で子供たちの素朴な疑問に丁寧に向き合う遠藤さん。
「なぜキリンの首は長いの?」という質問に対して、実際の解剖経験を基に説明。「首が長いことはキリンにとって、実は結構大変なんですよ」と語り始め、血液を脳に送るための特殊な仕組みや、心臓の大きさについて、子供たちの目線に合わせてわかりやすく解説。
動物の骨格標本を前に、子供たちと一緒に「動物の体の不思議」を探る場面、「この骨、どんな動きができると思う?」と問いかけ、子供たちの自由な発想を引き出しながら、科学的な観察眼を育てていく姿。
時には子供たちの予想外の質問に目を輝かせ、「そうそう、その視点大事!」と声を弾ませることも。
このような遠藤さんの姿からは、幼い頃に抱いた「なぜ?」という純粋な探究心が、研究者となった今も変わらず息づいていることが伝わってきます。
遠藤秀紀さんの学歴
- 小学校~高校:カトリック系私立学校(暁星学園?)
- 大学:東京大学農学部獣医学科(1991年卒業)
- 大学院:東京大学大学院農学系研究科獣医学専攻博士課程(1992年中退)
- 1996年:獣医学博士号取得
カトリック系の私立学校で学んだ遠藤さん。同じ学び舎からは俳優の香川照之さんも巣立っており、暁星学園ではないかとの推測が多く聞かれます。
しかし、遠藤さん本人は母校について多くを語りません。それは、現在の研究成果だけで評価されたいという思いの表れなのかもしれません。
遠藤秀紀さんの家族(結婚相手・子供)
結婚に関する情報
- 1995年頃に結婚
- 結婚式前夜にパンダのX線スキャン撮影を実施
- 子供含め、家族に関する詳細は非公表
1995年、研究者として重要な岐路に立っていた遠藤さんの前に、人生の大きな節目が訪れました。結婚式を翌日に控えたある夜、遠藤さんは上野動物園のパンダのX線スキャン撮影という重要な研究機会に立ち会います。
この選択は、一見すると私生活を顧みない研究者の姿勢として捉えられがちですが、実際はそうではありません。
研究への情熱を理解し、支え続けてくれる家族の存在があったからこそ、研究に打ち込むことができていることを感じさせる温かいエピソード。
結婚相手や子供についての詳細は明らかにされていませんが、家族の深い理解が、遠藤さんの研究活動を支える重要な基盤となっていることは間違いありません。
遠藤秀紀さんの経歴
主な経歴
- 1992年~2005年:国立科学博物館動物研究部研究員
- 2005年~2008年:京都大学霊長類研究所教授
- 2008年~現在:東京大学総合研究博物館教授
獣医学を志すきっかけ
遠藤さんの獣医学への道のりは、一本の道標に向かって真っすぐ進んだわけではありませんでした。幼少期から動くものへの関心は強かったものの、それは鉄道への興味と同じくらい、純粋な「動きの仕組み」を知りたいという好奇心でした。
小学生時代、近所の電気屋の息子さんと親しくなり、壊れたラジオの修理を見せてもらったことがあります。その時の「中を見れば仕組みがわかる」という発見が、後の解剖学研究の原点になったと、遠藤さんは振り返っています。
中学時代には、飼っていたインコが死んでしまった時、なぜ死んでしまったのかという疑問から、獣医になることを考え始めました。しかし、当時の遠藤少年の関心は「治療」よりも「仕組みを知ること」。
インコの命を救えなかった無力感よりも、その体の中でどんなことが起きていたのかを知りたいという思いが強かったのです。
高校時代、図書室で見つけた「比較解剖学」の本との出会いが、決定的な転機に。生き物の体の仕組みを比べることで、進化の過程が見えてくる。その視点に、遠藤さんは強く魅了されました。
そして大学受験を控えた時期、動物園で目にしたゾウの死。この経験が、遠藤さんの研究者としての方向性を決定づけることになります。
巨大な生命の終焉に立ち会い、その遺体から何を学べるのか。当時、動物園のスタッフが困惑する中、高校生の遠藤さんは「この遺体を研究させてほしい」と申し出たそうです。
もちろん許可はされませんでしたが、この経験が後の「遺体科学」という新しい研究分野を確立する原点となっていきました。
「生きているときよりも、亡くなってからの方が、生命の神秘に近づけることがある」という遠藤さんの言葉には、独特の研究哲学が表れています。
普通の獣医師として動物の治療に携わるのではなく、解剖学者として生命の本質に迫る道を選んだ背景には、こうした幼少期からの様々な経験が積み重なっていたのです。
入学後も、病気の治療法よりも、動物の体の仕組みを探究することに情熱を注ぎました。この異色の道は、周囲の理解を得られないこともありましたが、遠藤さんは自分の信じる道を突き進んでいったのです。
このように、遠藤さんの獣医学への道のりは、「治す」ことよりも「知る」ことへの強い探究心に導かれたものでした。それは今も、比較解剖学者として、生命の謎に迫り続ける原動力となっています。
死後の動物から生命の神秘を読み解く。一般的には忌避されがちな研究テーマですが、遠藤さんはそこに生命の本質を見出していきました。生と死の境界線上で、進化の痕跡を探り続ける。その独自の研究スタイルは、多くの新発見をもたらすことになります。
デビュー作「人探し」(双葉社、小説推理新人賞受賞)を応援下さり感謝します。解剖学者であるとともにミステリー小説を出版し始めた私の思いを、読売新聞(3月17日)の「顔」という記事で紹介して頂きました。どうぞ以下でご覧ください。遠藤秀紀(東京大学総合研究博物館)。https://t.co/OBCHJ7ggqV
— 遠藤秀紀 (@endohideki) March 19, 2024
これまでの活動
- 研究成果
パンダの「第七の指」の発見
「人体失敗の進化史」理論の提唱
様々な動物の解剖学的研究
- 著作活動
『解剖男』(2006年)
『人体 失敗の進化史』(2013年)
『人探し』(2023年・小説)
国立科学博物館時代、遠藤さんは数え切れないほどの動物の遺体と向き合いました。
例えば、キリンの首の血管にある、脳に血液を送るための特殊な弁の発見は、後に「なぜキリンは長い首で生きていけるのか」という進化の謎を解く重要な手がかりに。
中でも、パンダの研究は特筆すべき成果を残しています。それまでパンダには6本の指があるとされていましたが、遠藤さんは詳細な解剖学的研究を重ね、「第七の指」の存在を突き止めたのです。
この発見により、パンダが竹を器用に扱える仕組みが科学的に解明されました。
最近では、この経験を活かして創作活動にも挑戦。
2023年、第44回小説推理新人賞を受賞した小説『人探し』は、科学技術と人間性の関係を探る意欲作として評価。
執筆のきっかけについて遠藤さんは、「解剖学で見てきた『生命の真実』を、別の形で表現してみたかった」と語っています。
このように、遠藤さんの研究活動は、常に新しい発見と挑戦の連続。それは単なる学術研究にとどまらず、生命の本質を探求する壮大な旅路となっているのです。
今後の予定
東京大学の遠藤研究室に一歩足を踏み入れると、そこには一般的な大学研究室とは異なる光景が広がっています。
所狭しと並ぶ動物の骨格標本。「触れない化石は、化石以下の価値しかない」という持論のもと、学生たちは自由に標本を手に取り、観察していきます。
講義スタイルも遠藤さんならでは。ペットボトルを使って脊椎の構造を説明したり、身近な物で複雑な生体の仕組みを例える工夫を凝らしています。
「私の授業では寝てもいいんです。ただし、いびきはかかないでください」という独特な寛容さの中には、「体を休めながらでも、知的好奇心は持ち続けてほしい」という願いが込められているのです。
- 現在の活動
– 東京大学での研究・教育活動
– 日本哺乳類学会常任理事としての活動
– 小説作家
今後は、動物園との連携強化など、実地研究の機会を増やすことも計画。「実際の現場で、五感を使って学ぶことの大切さ」を説く遠藤さんは、研究成果を社会に還元する新しい方法を模索中です。
次回のAuDee「元・本屋の新井、スナックのママになる」📻ゲストは東大教授・解剖学者・推理作家の遠藤秀紀さん。いや〜〜〜めっちゃくちゃ面白いよ!!永久保存版版!!乞うご期待✨
— 新井見枝香(〜11/30まさご座) (@honya_arai) August 16, 2024
8月19日(月)22時配信https://t.co/5cT3mdUGtY
#AuDee pic.twitter.com/q4xfKQhChl
まとめ
幼き日の金魚解剖から、パンダの第七の指の発見、そして小説家デビューまで。
遠藤秀紀さんの人生は、好奇心という一本の糸で紡がれています。それは時に型破りで、時に常識を覆すものでした。
しかし、その根底には常に「真実を探る」という純粋な探究心が息づいていたのです。
東京大学の研究室で、今日も遠藤さんは新たな発見を求めて研究を続けています。その姿は、かつて金魚を前に目を輝かせていた少年の面影を、今なお色濃く残しているのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。