和歌山県高野町の杖ケ薮地区──この地域には、弘法大師や平家の落人伝説など、長い歴史と豊かな文化が息づいています。
この秘境に移住し、地域の文化や伝統を守り、次世代に伝えていくための活動に励む宇奈手毅さんと侑子さん。
本記事では音楽家と書道家という個性あふれる二人の経歴、そしてお子さん、杖ケ薮地区の深い魅力について詳しく紹介します。
- 宇奈手さん家族のプロフィール
- 宇奈手毅さんの経歴
- 宇奈手侑子さんの経歴
- 移住のきっかけと杖ケ薮地区の魅力
- 地域おこしの取り組み
- 宇奈手家の挑戦と今後
和歌山県高野町の杖ケ薮地区での生活を続ける宇奈手毅さん・侑子さん夫婦について興味のある方は、是非ご覧ください。
宇奈手毅さんと侑子さんのプロフィール
宇奈手毅さん(51歳)
- 出身:不明
- 生年:1973年
- 職業:笛奏者
横笛や古代尺八の演奏、伝統行事の復興に取り組む
宇奈手侑子さん(35歳)
- 出身:奈良県田原本町
- 生年:1989年
- 職業:書道家
- 活動:地域おこし協力隊として地域文化の発信や御朱印制作
宇奈手風介くん(1歳)
- 出生:2022年11月(2024年時点で2歳)
宇奈手家の長男で、杖ケ薮での50年ぶりの新生児として誕生。名前に「風」の字を使い、自由で結びつきを大切にする人物になるよう願いが込められています。
宇奈手毅さんの経歴
毅さんは若い頃から海外への興味が強く、音楽を通じて様々な文化に触れる旅を続けてきました。特にインドで出会った横笛は、彼の人生にとって大きな転機となります。
言葉を交わさずとも人と人を結びつける力を持つ音楽に魅了され、横笛や伝統楽器の奏者として活動を開始。その後、アジアやヨーロッパ各地を巡り、現地の音楽や楽器を自身の演奏に取り入れることで独自のスタイルを築き上げていきます。
コロナ禍を経て、毅さんは「都会から離れ、自然の中で音楽と共に生きる場」を求め、2021年に杖ケ薮に移住。
杖ケ薮では、正倉院に収蔵されている古代尺八を地元の黒竹で復元することに挑戦。平安時代から伝わるこの楽器は、現代の尺八よりも澄んだ音色を持ち、聴く人に懐かしさを感じさせる響きを持つそうです。
杖ケ薮での生活を通じて、毅さんは地域の伝統行事や風習にも深く関わるようになり、特に「ヒトボシ」や「平子無し踊り」の復活に携わり、地域文化の継承に力を入れています。
また、YouTubeを通じて杖ケ薮での演奏や伝統文化を発信。国内外から多くの注目を集めています。
毅さんの活動は、単なる音楽表現にとどまらず、杖ケ薮の豊かな自然や歴史を知ってもらうための地域おこしの一環としても大きな意義を持っています。
宇奈手侑子さんの経歴
侑子さんは奈良県田原本町で育ち、幼い頃から書道に親しんできました。書道家として活動する中で、作品を通じて人々に感動や気づきを与えたいという思いを持ち、技術を研鑽。
2021年には夫婦で杖ケ薮地区の地域おこし協力隊として和歌山県に移住し、杖ケ薮の歴史や文化を次世代に伝える活動に邁進しています。
杖ケ薮に移住してまず手がけたのは、地域の寺社仏閣で配布する御朱印制作でした。高野町の職人が漉いた「高野細川紙」を用いて御朱印を制作することで、杖ケ薮ならではの素材を活かし、地域の伝統と結びつけたアート作品を作り上げています。
訪れる人々に杖ケ薮の歴史や風土を伝える一つの手段として、この御朱印は観光客だけでなく地元住民からも高く評価されています。
さらに、彼女は書道を通じて地域の観光資源化も進めており、寺社仏閣や名所の案内看板を制作し、訪れる人々が杖ケ薮の歴史を感じられるよう工夫を凝らしています。
侑子さんの活動は、地域に深く根ざした「地域の物語を伝えるアート」として、地域おこしに重要な役割を果たしているのです。
移住のきっかけと杖ケ薮地区の魅力
夫婦が杖ケ薮への移住を決意したのは、コロナ禍で都会生活の制約が増え、より自然に囲まれた自給自足の生活を望んだからです。
杖ケ薮は平安時代に弘法大師が立ち寄り、杖で地面を突くと水が湧き、竹薮ができたという伝承が残る神秘的な場所。美しい星空が広がり、特に冬には流星群が観測できる自然の宝庫であり、気候も高野山より穏やかで暮らしやすい環境が整っています。
杖ケ薮には、弘法大師が辿った歴史や平家の落人伝説に関連する伝統行事「平子無し踊り」など、古代の日本を彷彿とさせる風習が残されており、こうした文化を通じて訪れる人は「日本昔話」のような時間に浸りながら、現代社会では失われた古き良き時代の空気を感じることができます。
また、杖ケ薮特産の黒竹や、和紙「高野細川紙」を活用した工芸も見どころであり、宇奈手夫婦の活動とも密接に結びついています。
地域おこしの取り組み
宇奈手夫婦は、杖ケ薮の伝統行事や文化を観光資源としても発展させ、地域の未来を見据えた活動を行っています。毅さんは「ヒトボシ」という祠で火を灯して結界を張る儀式の復活に取り組み、これを観光イベント化出来れば、伝統音楽と結界の儀式が一体となった地域の歴史と神秘を感じられる特別な体験が提供され、訪れる人々に強い印象を残すことでしょう。
侑子さんは、地域の歴史や風習を伝える御朱印制作や名所の案内看板の制作に取り組み、地域資源を広く発信しています。彼女の御朱印は、地域の文化や人々の思いを表現するアートとして、観光客の心を惹きつけ、地域の歴史的価値を深める役割も果たしています。
杖ケ薮の観光地化を視野に入れた夫婦の活動により、この限界集落が新たな観光地として注目される日が訪れるかもしれません。
宇奈手家の挑戦と集落に対する思い
宇奈手家の長男・風介くんが2022年11月に誕生したことで、杖ケ薮地区は50年ぶりに新生児を迎えました。風介くんには「風のように自由で、人と人を結びつける存在になってほしい」という願いが込められ、夫婦は彼がこの地でのびのびと育ち、地域の文化や伝統の継承に貢献することを期待しています。
杖ケ薮のインフラや医療面での不安がある中、夫婦は地域と協力し、改善に努めています。少数の集落ながら保健師の定期的な訪問や大雪時の安否確認といったサポート体制も整っており、安心して暮らせる環境があることも魅力の一つ。
訪問者に向けて地域の文化や歴史が伝わるような案内板や観光ツアーも企画中で、杖ケ薮を未来に残すための取り組みを続けています。
まとめ
杖ケ薮地区に移住し、地域活性化に挑む宇奈手毅さんと侑子さん夫婦は、単なる田舎暮らしではなく、地域の伝統文化を復活させる活動に情熱を注いでいます。
そして、彼らの活動を通じて、杖ケ薮は日本の原風景を感じさせる新たな観光地としての可能性も向上。
50年ぶりの新生児・風介くんと共に、宇奈手家は杖ケ薮に新たな生命の息吹をもたらし、地域の未来を切り開こうとしています。
現代社会が見失いがちな古き良き日本の価値を再認識させる宇奈手家の挑戦に、応援のエールを送りたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。