2010年11月、コロラド州シルバーソーンで起きた衝撃的な殺人事件。ステファニー・ローラーという一人の女性の死は、完璧に見えた結婚生活の裏に潜む暴力の実態を浮き彫りにしました。
この事件は、家庭内暴力の被害者が直面する困難な現実と、支援の重要性を私たちに教えてくれています。
本記事では事件の真相、事件が社会に与えた影響、そして犯人の現在について調査、報告します。
- 事件の概要
- 結婚生活 その実態
- 捜査の進展
- 事件の真相
- 判決・犯人の現在
- 事件の影響
Murder of Stephanie Roller by her husband Dale Bruner features on ID’s A Killer Thanksgiving#truecrime https://t.co/zRJXsUX754 pic.twitter.com/biIafYDIRB
— Monsters and Critics (@monstersandcrit) November 21, 2018
2024年12月10日放送の「(秘)衝撃ファイル」でも紹介された、アメリカ・コロラド州で発生したメリッサ殺人事件の行方について興味のある方は、是非ご覧ください。
事件の概要
- 2010年11月22日夜、ステファニー・ローラー(41歳)が失踪
- 夫からの通報は翌23日朝8時45分
- 夫の証言:22日、夜10時から10時30分の間に散歩に出たまま戻らず
- 行方不明時の持ち物:パソコンのみ(財布や車の鍵は自宅に)
シルバーソーンは、人口約3500人の小さな町。スキーリゾートとして知られる観光地ですが、11月下旬はまだシーズン前。この日、町は記録的な寒波に見舞われていました。
- 捜索開始時の状況:
- 気温は氷点下、体感温度マイナス20度
- 大雪による視界不良
- 足跡などの手がかりはすぐに雪に埋もれる状態
捜査官テレサ・バーガーは、当時を振り返ってこう語っています。「普通の失踪事件とは、何かが違った。こんな気象条件の中、散歩に出かけるという話自体に違和感があった」
そして、彼女は4日後の感謝祭翌日、遺体となって自宅近くのブルー川で発見。
- 発見時の状況:
- 場所:自宅から数百ヤード離れたブルー川
- 状態:遺体は凍結
- 着衣:右腕に長袖Tシャツが付いているのみ
- 証拠品:出かけた時の服は発見されず
ブルー川。その名の通り、透き通った青い水をたたえる美しい川です。しかし、11月の水温は氷点下。シルバーソーンの住人たちは、この川で遊ぶことはあっても、真冬に近づくことはありません。
なぜ、彼女の遺体がここで見つかったのか。その疑問は、やがて恐ろしい真実へとつながっていきます。
結婚生活 その実態
- 出会い:1993年、オレゴン州のスキーリゾート
- ステファニー:リゾート施設のスタッフ
- デール:自然写真家として撮影に訪れる
- 交際期間:3年
- 結婚式:フィジーでの挙式
「彼女がサングラスを外した瞬間、その美しさに心を奪われた」
デールは警察での取り調べで、出会いの瞬間をそう語っています。二人の出会いは、まるで映画のワンシーンのように完璧でした。
- 新婚生活:コロラド州シルバーソーンに移住
- デール:写真スタジオを開業
- ステファニー:地方行政機関で建築審査の職に就く
- 子供:3人を授かる
- 家族での休暇:メキシコ、ディズニーワールド、ハワイへ頻繁に旅行
周囲の目に映る彼らは、理想の家族。しかし、その笑顔の裏で、誰も知らない暴力が進行していたのです。
- 結婚生活の実態
- 暴力の始まり:第一子妊娠中から
- 深刻な暴力:寝室での暴行、妊婦の腹部への暴力
- 繰り返されるパターン:暴力→謝罪→和解
親友のジェニファーは悔やむように語ります。「最期の1ヶ月になって、やっと本当のことを話してくれた。でも、もう遅すぎた」
- 事件直前の6週間
- きっかけ:デールが息子に暴力をふるう場面を目撃
- ステファニーの行動:裁判所に接近禁止命令を申請
- 急転:1週間後、命令を取り下げ
- 最後の試み:子供たちを連れて家を出るも、経済的理由で数時間後に戻る
一見意味不明の行動にも見えますが、DV被害者支援の専門家は指摘します。
「被害者が完全に逃げ出せない理由は複雑です。経済的な不安、子供への影響の懸念、そして何より加害者からの報復への恐怖。これらが被害者を縛り付けているのです」
そして、ステファニーは友人に最後の言葉を残します。「もし私に何かあったら、デールの仕業だと知っておいて」。この警告は、のちに事件の真相を解く重要な手がかりとなりました。
捜査の進展
- 失踪直後の初動捜査
- 11月23日午前8時45分:デールからの失踪届
- 通報内容:前夜10時半頃に散歩に出たまま帰宅せず
- 持ち物:パソコンのみ(財布、車の鍵は自宅に)
- 着衣:薄手のジャケット(極寒の気象条件には不適切)
捜査官テレサ・バーガーが覚えた異常な違和感。極寒の夜に、財布も持たずに散歩に出かけるという状況。そして、10時間も経ってからの通報。「これは普通の失踪事件ではない」バーガーはそう直感したのです。
- 初期の捜索活動:
- 地域住民、友人、家族による大規模な捜索
- ホテルやモーテルの一斉確認
- 携帯電話への度重なる発信(応答なし)
- 気象条件:気温マイナス1度、体感温度マイナス20度、大雪
一つの不可解な事実。夫のデールは捜索活動に一切参加しませんでした。理由を問われると「警察に家にいるように言われた」と説明。しかし、捜査関係者の証言によれば、そのような指示は出していなかったとのことです。
- デールの不審な言動:
- 警察署での仮眠(妻が行方不明中にもかかわらず)
- 取り調べ中の異常な落ち着き
- 感情表現の使い分け:人が近づくと泣き崩れ、離れると普通の表情に
- 子供たちへの説明:「ママが帰ってこない」とだけ告げる
CBI(コロラド捜査局)のグレッグ・サダー捜査官は、デールの様子を詳しく観察。特に、ステファニーの追悼式での彼の行動に注目します。「周囲を見渡している時は落ち着いていて冷静。誰かが近づくと突然泣き崩れる。しかし涙は出ていない。そして人が離れると、瞬時に普通の表情に戻る。私の経験の中で、最も奇妙な行動の一つ」
- 新たな展開:ロン・ホルトハウスの存在
- 発覚:ステファニーとの親密な関係
- 関係の性質:精神的な恋愛関係
- 出会い:地域のチャリティーイベント「山の星とのダンス」での練習
- 二人の秘密のブログ「魂の求道」の発見
捜査はさらに複雑な様相を帯びていきます。ホルトハウスには妻がいました。そして彼は、ステファニーの失踪前日、彼女との関係を終わらせようとしていたのです。
- ホルトハウス夫妻への捜査:
- 両者へのポリグラフ検査:二人とも不合格
- アリバイ:互いが互いのアリバイを主張
しかし、サダー捜査官は、彼らの証言の一貫性に注目します。「二人の証言が常に一致していた。嘘をつき続けながら、互いの証言を完璧に一致させることは、ほぼ不可能」
- 捜査の転換点
- 11月26日:ステファニーの遺体発見
- 司法解剖の結果:頭部打撲、首の絞扼、溺死、低体温症の複合的要因
- 証拠品:着ていたはずの服の不在
- 発見場所:自宅から数百ヤードの位置
遺体の発見により、捜査は新たな段階に入ります。検察官マーク・ハルバートは「これは極めて残虐な殺人だった」と表現。頭蓋骨を割るほどの殴打、頸椎が折れるほどの絞扼、そしてまだ生きている状態での川への投棄。
状況は、夫デールの犯行説に傾きつつありました。
事件の真相
検察は、この夜に何が起きたのかを次のように推理。
デールは妻のパソコンを見て、ダンスパートナーへの未送信のメールを発見。「あなたを愛しています。あなたは私の人生の愛」という言葉に激高し、妻を襲ったのではないか。
更に、捜査の過程で、ステファニーの声が残されていることが判明。それは、事件のわずか6週間前、接近禁止命令を申請した裁判所での証言を録音したテープでした。
- ステファニーが残した証言
- 「何年も前、首を絞められました」
- 「殺すと脅されました」
- 「子供たちと逃げるしかない」
- 「もし私に何かあったら、デールの仕業です」
この録音は法廷で再生され、会場を凍りつかせます。まるで、死者が真実を語りかけているかのようでした。
真相は、静かな山間の町で起きた、夫による妻の殺人でした。完璧な結婚生活を演じることに執着したデールは、その仮面が剥がれ落ちそうになった時、最愛の妻の命さえも奪ったのです。
判決・犯人の現在
- 陪審員は4時間の評議で全罪状について有罪を認定
- デール・ブルーナーには112年の懲役刑が言い渡された
- 控訴審で一部の暴行罪が棄却され、刑期は48年に短縮
デールは今も無実を主張し続けていますが、当時の弁護士が、デールが事件前に犯行を告白していたことを証言。
その結果、デールの再審請求が認められる可能性は極めて低くなったと見られています。
事件の影響
- 地域のDVシェルターに、ステファニーの名を冠した部屋が設置
- 毎年秋に、彼女を追悼するチャリティーイベントが開催
- この事件を機に、DV被害者支援の重要性が再認識
- 3人の子どもたちは、ステファニーの家族に引き取られた
外見は完璧に見える家庭でも、深刻な問題が隠されている可能性があります。この事件は、私たちの目の前で起きている可能性のある家庭内暴力の実態と、早期発見・支援の重要性を教えてくれています。
まとめ
「怖いと感じたら、すぐに逃げて」
ステファニーの親友ジェニファーが残したこの言葉は、至極真っ当。しかし、逃げることは簡単ではありません。だからこそ、周囲の気づきと支援が重要。
この事件、そしてあらゆるDVの事例を教訓に、私たちは隣人や友人の小さなSOSに気づき、適切な支援につなげることができる社会を作っていく必要があります。
私たち一人一人にもっとできることがあるのでは?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。