明治38年創業の老舗「升本フーズ」。その代表取締役会長兼社長を務める塚本光伸さんは、波瀾万丈な人生を歩んできた経営者として知られています。
幼少期には飲食業を憎むほど嫌っていた塚本氏が、なぜ今では飲食業界の重鎮として高い評価を受けているのでしょうか。
本記事では、塚本光伸さんの波乱に富んだ人生をプロフィールと経歴から遡り、「人を幸せにする」という独自の経営哲学、そして現代の升本フーズの独自性に迫ります。
- 塚本光伸さんのプロフィール
- 塚本光伸さんの家族構成
- 塚本光伸さんの経歴
- 升本フーズって?仕事へのこだわり
- 運営店舗情報・住所
9/28(木) #致知今日の言葉
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――塚本光伸(升本フーズ会長)
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明治38年創業の老舗「升本フーズ」、その代表取締役会長兼社長を務める塚本光伸さんについて興味のある方は、是非ご覧ください。
塚本光伸さんのプロフィール
・名前:塚本光伸(つかもと みつのぶ)
・生年:1951年
・年齢:73歳(2024年現在)
・出身:東京都亀戸
・現職:株式会社升本フーズ 代表取締役会長兼社長
・兄弟:2つ上の姉、10歳下の弟
塚本光伸さんは、東京・亀戸で明治38年から続く老舗酒屋の家系に生まれました。戦後、実家は空襲で店を全焼。両親は小規模な飲食店として事業を再建しましたが、その日々は苦労の連続でした。
幼い頃の塚本さんの記憶には、深夜まで働き続ける両親の姿が深く刻まれています。特に母親は疲労で倒れるように眠り込むことも多く、幼い塚本氏は空腹でも声をかけることができませんでした。
両親は朝から晩まで休む間もなく働き、子どもたちに気を配る余裕すらない状況。中学生の頃には「労働時間は長いのに、休みは少なく、給料も良くない。こんな仕事の何がいいんだ」と両親と激しい口論になることもありました。
飲食業に両親を奪われたような寂しさと怒りは、次第に憎しみにまで発展。その思いは高校卒業後の家出という形で表れます。大阪での7ヶ月に及ぶ放浪生活では、最初の2日間は寺での野宿を余儀なくされましたが、それでも飲食業から逃れられたという安堵感があったと後に語っています。
このような幼少期の体験は、後の経営者としての塚本さんの価値観形成に大きな影響を与えることになります。従業員の働き方改革や、家族との時間を大切にする企業文化の醸成は、まさに自身の原体験から生まれた経営哲学といえるでしょう。
塚本光伸さんの家族構成
・実家は明治38年創業の老舗酒屋
・父母は戦後、飲食店を経営
・写真から推測される塚本さんの家族:妻・娘
現在の家族構成については公表されていませんが、公開されている写真から妻と娘さんがいらっしゃる?と推測できます。自身の 幼児体験から、家族との時間を大切にされているのは、間違いないと思われます。
塚本光伸さんの経歴
・高校卒業後、家出同然で大阪へ(7ヶ月間)
・父の突然の病により帰京
塚本光伸さんの社会人生活は、飲食業からの逃走から始まりました。高校を卒業した直後、家業から逃れるように大阪へと向かった塚本さん。所持金もわずかで、最初の2日間は寺での野宿生活を強いられました。しかし、それでも飲食業から解放された安堵感で胸が一杯だったと、後に語っています。
ところが、7ヶ月後に突然の連絡が入ります。父親が重病に倒れ、店の存続が危ぶまれているという知らせでした。
病床の父から「店を頼む」と懇願されても、頑なに首を縦に振ることができなかった塚本さん。しかし、父の余命がわずかであることを知り、「手伝いなら」という言葉を絞り出します。
25歳になった塚本氏に転機が訪れます。2つ上の姉が結婚を機に家業を手伝うことになり、これを好機と捉えた塚本氏は、独立の道を選択。
不動産の仲介業をスタート。その選択は見事に的中し、瞬く間に事業は拡大。一人で2億円近い収入を得るまでになりました。
その成功を元手に、多摩で280坪の広大な敷地に懐石料理店をオープン。順風満帆に思えた事業でしたが、38歳のときに運命の歯車が大きく狂います。稼ぎ頭だった不動産事業で大失敗し、4億円という途方もない追徴課税が課せられたのです。
倒産は避けられないと覚悟を決めた矢先、思わぬ救いの手が差し伸べられます。皮肉にも、それは塚本氏が長年嫌悪してきた飲食業からでした。
友人を通じて雅叙園関連の店舗運営や、レストランの経営委託の話が次々と舞い込んできたのです。
升本フーズって?仕事へのこだわり
経営者としての転機
塚本氏の人生を決定的に変えたのは、箱根での「うかいグループ」との出会い。
箱根で偶然見つけた素晴らしい旅館に感銘を受けた塚本氏は、運営元が「うかいグループ」だと知り、すぐに当時の社長・鵜飼貞男氏に手紙を送ります。
しかし、返信はなく、諦めることなく送り続けた手紙は4通目。ようやく「10分だけなら」という返事を得て、塚本氏は即座にうかいグループの本店へと向かいました。
その短い面会で目にしたのは、生き生きと働く若いスタッフたちの姿。さらに鵜飼社長から見せられた一通の手紙が、塚本氏の人生観を大きく変えることになります。
その手紙には、自殺を決意していた2人が箱根のガラスの森美術館(うかいグループ経営)を訪れ、その美しさに感動して思いとどまり、現在は決して裕福ではないものの、楽しく生きているという内容が綴られていました。
飲食業に携わること、それは単なる商売ではない。人の心を動かし、時には人生をも変えうる―。この気づきが、その後の塚本氏の経営哲学の核となっていきます。
昨日のおやつはビオセボンで購入した勝運おはぎ。升本フーズのものだからと期待して購入。冷蔵庫に入れておいて2時間ほど外に出していただきました。柔らか美味しい!ハマる!職場おやつのローテーションに入れようっ♪ pic.twitter.com/9vLvBk7Snk
— とりはつあめめ (@torihatuameme) July 29, 2023
升本フーズって?
2001年、升本フーズは弁当製造販売事業に本格参入。これは単なる事業拡大ではなく、「人を幸せにする」という理念を形にする挑戦でした。
特に「亀戸升本」ブランドの弁当づくりには、以下のようなこだわりが込められています。
- 原材料から保存料を使わない完全手作り
- 熟練職人による製造
- 三つの喜び(買う人・売る人・作る人)の追求
2006年からは、さらに新しい取り組みとして、現代の健康志向に応える「和正食」弁当の展開を開始。そのコンセプトは;
- 肉や魚を使用しない
- 精白糖不使用
- マクロビオティックの考え方を導入
- 東洋的な食のバランス(陰陽五行)を重視
同時に、伝統の継承にも注力。
- 江戸の伝統野菜「亀戸大根」の栽培・活用
- 天然塩・有機醤油の使用
- 地養卵の採用
2022年には「急速冷凍しりーず」の全国販売を開始するなど、伝統と革新のバランスを保ちながら、常に新しい挑戦を続けています。
そして、何より特筆すべきは、その独特な企業文化です。
「幹部社員の8割は出戻り社員」という事実は、働きやすい職場環境を物語っています。新入社員には最初に「辞表の書き方」を教えるという一見奇異に映る取り組みも、人生は一度きりという塚本さんの哲学。
「自分の人生を大切にしてほしい。だからこそ、戻ってきたい職場であり続けたい」という思いが、この独特な施策の根底にある考え。
かつて憎んでいた飲食業を通じて、従業員も、お客様も、そして作り手も幸せになれる―。それが塚本さんと升本フーズが追求し続けている理想の形なのです。
やばいこれめっさ美味しい。当分見つけたらこのお弁当にしよう。
— うるとら (@analogbox) November 29, 2022
すみだ川(あさり炊き込み)弁当
升本フーズさん pic.twitter.com/w1ZPky9i5W
運営店舗情報・住所
亀戸升本 本店
- 住所:東京都江東区亀戸4-18-9
- 火~金:11:30-14:30(14:00 L.O.) 17:00-21:00(19:30 L.O.)
- 土日祝:11:00-14:30(14:00 L.O.) 17:00-21:00(19:30 L.O.)
- 定休日:月曜日 *月曜日祝日の時は翌日火曜定休(1・8・12月を除く)
- 座席数:100席
- アクセス:JR総武線/東武亀戸線 亀戸駅から徒歩7分
店舗では伝統ある「亀戸大根」を使用した料理を提供し、江戸の食文化を今に伝えています。特に「亀戸大根あさり鍋めし」は看板メニューとして人気を集めています。夜席は予約制のみでの営業となっており、接待や記念日利用など、特別な日の食事に選ばれることも多い店舗です。
ちなみに弁当販売のすずしろ庵も併設されています。
すずしろ庵(升本フーズ直営店・弁当販売)
すずしろ庵 (亀戸 十三間通り)
- 住所:東京都江東区亀戸2-45-8
すずしろ庵 門前仲町店
- 住所:東京都江東区富岡1-10-10
すずしろ庵 柴又店
住所:東京都葛飾区柴又7-7-10
デパート常設売場
首都圏の主要百貨店にも出店があります。
- 日本橋三越本店
- 銀座三越
- 伊勢丹新宿店 など
オンラインショップ
- 升本フーズ公式サイト(https://masumoto.co.jp/)から注文可能
- 2022年からは「急速冷凍しりーず」の全国配送も開始
【予約について】
- 店頭販売分は早々に完売することも多いため、予約がおすすめ
- 催事や特別な時期(おせちなど)は特に早めの予約が必要
- 法人向け仕出し弁当の注文承りもあり
まとめ
塚本光伸氏の人生は、飲食業への憎しみから始まり、不動産業での成功と挫折を経て、再び飲食業に回帰するという波乱に富んだものでした。
その経験を通じて得た「人を幸せにする」という経営哲学は、升本フーズの企業文化として今も脈々と受け継がれています。
伝統的な「亀戸大根」の継承や、新しい「和正食」の提案など、伝統と革新のバランスを保ちながら、食を通じて人々の幸せに貢献し続ける塚本氏の姿勢は、現代の外食産業においての王道経営。
今後の発展がますます楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。