人生100年時代と言われる今、セカンドライフをどう過ごすかは多くの人の関心事となっています。その中で、70歳を過ぎてから料理研究家としてデビューし、91歳の今も精力的に活動を続ける小林まさるさんの生き方は、多くの示唆に富んでいます。
「もう年だから」という言葉を嫌い、「ワクワクすることには何でもチャレンジする」という小林さん。
本記事では、そんな小林さんのプロフィール、経歴を振り返り、笑顔と元気を届け続けるシニアライフの新しい可能性を探っていきます。
- 小林まさるさんのプロフィール
- 小林まさるさんの家族
- 小林まさるさんの経歴
- 今後の予定
あしたも晴れ!人生レシピ
— インフ 🎥😄😆🎧 撮影 音声 (@inf_taro) November 20, 2024
91歳 料理は生きがい
NHK E 11月22日(金) 午後8:00〜午後8:45
今も現役で活躍する91歳の料理研究家、小林まさるさんのバイタリティーあふれる生き方に迫ります。
波乱に富んだ人生、料理と共に生きる今の姿とは?#撮影 #音声https://t.co/lQq6w1j43P
今も現役で活躍する91歳の料理研究家、小林まさるさんのバイタリティーあふれる生き方について興味のある方は、是非ご覧ください。
小林まさるさんのプロフィール
- 生年月日:1933年4月22日
- 年齢 :91歳(2024年時点)
- 出生 :樺太(現在のロシア連邦サハリン州)
- 在住 :東京
- 父親 :炭鉱の機械修理工として勤務
- 兄弟 :7人兄弟(2男5女)の長男
小林まさるさんの少年時代は、戦争の時代。12歳だった1945年8月9日、ソ連が日ソ中立条約を破って樺太に侵攻。
父親が炭鉱機械の技術者として必要とされたため、15歳で北海道に引き揚げるまでの3年間を樺太で過ごすことになります。
この時期、父親の同僚のロシア人の娘ワリチカとの出会いは、彼の初恋として心に刻まれています。13歳の同い年で、身長170センチのワリチカと、150センチだった小林少年。15歳での別れの際、ワリチカは涙を流したといいます。
現在の小林さんの生活は、91歳とは思えないほど活動的。朝7時に起床し、コーヒーを飲むことから一日をスタート。7時45分からは掃除機がけ、拭き掃除(本人が「まさルンバ」と呼ぶ)、トイレ掃除と花や草木の手入れ、ゴミ出し、洗濯、布団干しと、テキパキと家事をこなします。
その後、愛犬のヴァトンとの1時間の散歩を日課とし、食材の買い出しは近所のスーパーから渋谷・新宿・青山まで自ら足を運びます。
道中は表札を見ては同姓の過去の友人を思い出す「回想法」を実践し、通りすがりの車のナンバープレートで「おいちょかぶ」の計算をするなど、自身なりの脳トレも欠かしません。
そして、健康維持の秘訣は、50年以上続けている15分間の入念な風呂での体操です。夜9時に就寝し、10時間の睡眠を確保する規則正しい生活を送っています。
トレードマークのバンダナについては、「ある雑誌の写真でハゲがばっちり写ってしまったので、息子の嫁のアドバイスでバンダナをするようになった。つまりハゲ隠しです」と、ユーモアを交えて語る小林さんです。
小林まさるさんの家族
- 34歳で結婚、2人の子供をもうける
- 2年後に離婚し、シングルファーザーとなる
- 母親が子どもの面倒を一時みるも、父親の入院付き添いにより難しくなる
- 2年後に元妻と再婚
- 妻は病弱で入退院を繰り返し、57歳の時に他界
- 現在は息子夫婦と同居
小林さんの家族との歩みは、決して平坦なものではありませんでした。34歳で結婚し2人の子供をもうけますが、2年後に離婚。
シングルファーザーとして子育てに奮闘することになります。当初は母親が子どもの面倒をみてくれていましたが、父親の入院の付き添いでそれも難しくなり、2年後に元妻と再婚を決意。
しかし、妻は体が弱く、入退院を繰り返す日々。家でも伏せていることが多く、実質的には”シングルファーザー”の状態が続いたと小林さんは振り返ります。
この間、2人の子供の食事と弁当を作ることが、小林さんの日課となっていきました。そして57歳の時、妻は他界し、現在は息子夫婦と同居しています。
小林まさみさんとの出会い
そして、息子の妻である小林まさみさんとの出会いが、小林さんの人生を大きく変えることに。
まさみさんは一般企業に勤めていましたが、退職後に調理師学校に通い、平野レミさんのアシスタントを経て料理研究家として活動を始めます。
まさみさんが多忙になってきた時、既に定年退職していた小林さんは家事の手伝いを申し出ます。特に、まさみさんの初の著書『よーい丼』執筆時には、1日50品を撮影スタジオで作るという過酷な仕事を手伝うことに。
当初は洗い物だけの予定でしたが、小林さんは1日中黙々と作業を続け、2日目には初日以上の働きを見せました。道具の位置を完璧に覚え、手際よく仕事をこなし、さらには鍋を磨き、包丁まで研ぎ始めたといいます。
この働きぶりが認められ、まさみさんの師匠である平野レミの提案で、本のクレジットにスペシャルサンクスとして小林さんの名が記されることに。
これを機に、まさみさんのアシスタントとして撮影現場に同行するようになり、「アシスタントが舅(義父)」という珍しい取り合わせが注目を集め、小林さん自身にも料理の仕事が舞い込むようになっていったのです。
小林まさるさんの経歴
- 1947年、15歳で樺太から北海道美唄に引き揚げ
- 高校卒業後、炭鉱夫として就職
- 27歳で西ドイツに3年間派遣される
- 千葉の製鉄所に再就職
- 60歳で定年退職
引き揚げ後の生活は、想像を絶するものでした。当時の日本では深刻な食糧不足に見舞われており、カボチャばかりを食べさせられた経験から、今でもカボチャを見るのも嫌だと語ります。
そして、家族を養うため、本意ではありませんでしたが、給料が良く花形だった炭鉱夫として働き始めました。
27歳の時には「ドイツ魂を見てこい」という会社の要請で西ドイツに3年間派遣。その後、炭鉱町の様々な人間関係に疲れ、美唄を離れて千葉の製鉄所に再就職。
この千葉時代には、家一軒が買えるほどの収入がありましたが、酒と競馬で半分以上を使ってしまったと振り返ります。
料理のきっかけ
- 70歳で息子の妻(小林まさみさん)の料理アシスタントに
- 78歳で初の料理本『まさるのつまみ』を出版
小林さんと料理の関わりは、実は若い頃から始まっていました。母親が漁師の飯炊きの仕事でタラやサケを上手にさばくのを横で見ているのが好きで、自然と魚をさばく技術を習得していったといいます。
これまでの活動
- 2011年に『まさるのつまみ』を主婦の友社から出版
- 『小林まさるのカンタン!ごはん』(81歳で出版)
- 『人生は、棚からぼたもち!』(86歳で出版)
- 2021年8月、YouTubeチャンネル『小林まさる88チャンネル』開設
- Instagramやオンラインショップなども小林まさみと共同で運営
小林さんの料理には特徴があります。冷蔵庫にある残り物、乾物、缶詰を賢く使い回し、野菜や魚介類を中心とした簡単に作れる料理が中心です。
これらは肴だけでなく、常備菜や副菜としても活用できるメニューが多く、シンプルでありながら器選びと盛り付けにもセンスが光ります。
このような、手軽で見た目も良く、健康志向という時代のニーズに合致した料理スタイルは、ベテランの主婦、若い母親をはじめ、男女を問わず料理初心者からも支持を得ています。
YouTubeチャンネルの冒頭では「小林まさるです。息子の嫁の小林まさみのアシスタントです」と自己紹介する姿が印象的。
小林まさみさんとの関係については「嫁の指示に従う、食材を無駄にしない、貸し借りはシビアに」をモットーにしているとのこと。
まさみさんの料理を「近代的」とし、自身の料理を「昔っぽい”おふくろの味”」と評しています。
今後の予定
- 「飲んべえの学校」(シニア男性向けの料理教室)の開設を目指す
- 酒のつまみ料理を5品程度、みんなで作って試食する形式を計画
- 料理を通じた高齢者の交流の場を創出
90歳を目前に控えた今も、小林さんの夢は尽きません。特に力を入れたいと考えているのが、シニア男性向けの料理教室「飲んべえの学校」です。
「男子厨房に入らず」という考えが若い世代では既に過去のものとなっている一方で、高齢男性の中にはまだそういった意識が残っているのではないかと小林さんは考えています。
「定年後に趣味もなく、外出先も見つからない男性たちに向けて、料理を通じた新しい交流の場を作りたい」
料理は認知症・老化予防になるだけでなく、誰かを喜ばせることもでき、何より自分自身が生きていくために必要な技術だと小林さんは説きます。
「食べることは生きることだよ」という言葉には、91年の人生で培った確かな重みがあります。
まとめ
小林まさるさんの生き方には、現代のシニア世代に向けた重要なメッセージが込められています。
「年だから」と諦めることを嫌い、「いい年をして恥ずかしい」という考えにとらわれず、興味のあることに果敢にチャレンジし続ける姿勢は、多くの人々に勇気を与えています。
70歳でのアシスタント転身、78歳での著書出版、88歳でのYouTubeチャンネル開設など、小林さんの人生は「年齢に関係なく、可能性は広がっている」ことを体現しています。
「60歳からの人生は意外と長い」という言葉には、現在進行形で充実した日々を送る小林さんならではの説得力があります。
そして何より、「料理することでいいことはいっぱいあるけど、何よりもいいことは、誰かに喜んでもらえるということ」という言葉に、小林さんの人生哲学が凝縮されているのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。