人生には予期せぬ出来事が付きものです。しかし、そんな逆境をバネに、新たな夢を実現させた夫婦がいます。
群馬県沼田市で観光ぶどう園「福田ぶどうマルシェ」を営む福田智美さんと靖さん。病気により車いす生活となった智美さんですが、夫婦で力を合わせて、誰もが楽しめるバリアフリーの観光農園を作り上げました。
本記事では、福田夫婦のプロフィールと経歴から彼らの挑戦を紹介。『福田ぶどうマルシェ』へのアクセスについても案内します。
- 福田夫婦のプロフィール
- 福田夫婦の経歴
- バリアフリーの観光農園『福田ぶどうマルシェ』
- 『福田ぶどうマルシェ』へのアクセス情報
福田智美さん、靖さん夫婦、そして彼らが営む『福田ぶどうマルシェ』について興味のある方は、是非ご覧ください。
福田夫婦のプロフィール
福田智美さん(46歳)
- 東京都出身
- 元国立がん研究センター研究所勤務
- スキーが得意で旅行好き
福田靖さん(57歳)
- 群馬県出身
- 獣医師
- 元国立感染症研究所勤務
- 自転車とスキーが趣味
智美さんと靖さんの出会いは、智美さんが大学生だった頃。卒業研究のため、靖さんが勤務していた国立感染症研究所を訪れたことがきっかけでした。
スキー好きの東京都出身の女子大生と、群馬県出身で自転車とスキーが趣味の獣医師。共通の趣味を通じて親しくなった二人は、2006年に結婚します。
その後、智美さんは国立がん研究センター研究所に勤め、研究職として充実した日々を送っていましたが、靖さんが「定年後は農業がしたい」と言い出したことから現在に至る道程がスタート。
最初は半信半疑だった智美さんも、靖さんと一緒に山梨のぶどう農園でボランティアを始めるうちに、人々と直接触れ合える農業の魅力に惹かれていきます。
そんな二人の第二の人生は、その後の試練を経て、今では単なる就農という枠を超え、より大きな意味を持った挑戦になっています。
福田夫婦の経歴
● 研究者から農業へ
- 2017年、50歳の靖さん、39歳の智美さんが早期退職を決意
- 群馬県沼田市への移住を計画
- 研修先の農家も決定し、いよいよ新生活へ
● 人生の転機
- 移住準備中に智美さんが緊急入院
- 脊髄髄内腫瘍が見つかり手術
- 8カ月半の入院生活を経て車いす生活に
● 夢への挑戦
- 2017年、計画通り沼田市へ移住、就農研修スタート
- 地域の農家で1年半の研修
- 2019年、バリアフリー観光農園『福田ぶどうマルシェ』開園
移住先として群馬県沼田市を選んだ理由は明確でした。靖さんの地元であること、スキー好きの二人にとって魅力的な土地であること、そして何より、将来の観光農園として理想的な、東京から2時間圏内という立地でした。
しかし、新生活へのスタートを目前に控えた時、智美さんを突然の試練が襲います。脊髄髄内腫瘍の発見と緊急手術。8カ月半に及ぶ入院生活を経て、車いす生活となりました。それでも、「新しい環境で、新しい生活を」という靖さんの提案に、智美さんは前を向くことを決意します。
研修先で出会ったマンズ・レインカット栽培との出会いは、車いすでの農業という新たな挑戦を可能にしました。こうして2019年、バリアフリーの観光農園『福田ぶどうマルシェ』が誕生。当初の夢は、より大きな意味を持つ挑戦へと発展していったのです。
バリアフリーの観光農園『福田ぶどうマルシェ』
● 園の概要
- 約40アールの広さに18種類のぶどうを栽培
- 車いすでも楽しめる工夫が随所に
- 駐車場からぶどう園まですべてバリアフリー
- 車いす対応トイレを完備
- 休憩スペースも充実
● 特徴的な栽培方法「マンズ・レインカット方式」
- 透明な屋根で雨をカット
- 子どもの目線の高さにぶどうが実る
- 通常の棚栽培より低い位置で栽培
- 病気や腐敗を防ぎ、高品質なぶどうを実現
日本の気候に合わせて1990年代に開発されたこの栽培方法は、福田さん夫妻にとって理想的。一般的なぶどう園で見かける高い棚栽培と違い、ぶどうが腰の高さで実るため、車いすに座ったままでも作業ができます。
また、透明な屋根で雨を防ぐことで、雨の多い日本の気候でも病気や腐敗を抑え、質の高いぶどう作りが可能になりました。
観光農園としても、この方式には大きなメリットがあります。子供でも手が届く高さでぶどう狩りを楽しめ、車いすの方も他の来園者と同じように収穫体験ができるのです。
● バリアフリーへのこだわり
- 駐車場は全面アスファルト舗装
- 園内の通路は車いすでも移動しやすい設計
- スロープを適所に設置
- 休憩スペースも車いす対応
- スタッフの細やかなサポート体制
智美さんは自身の経験から「社会は車いすに優しくない」と感じていました。だからこそ、観光農園を開く際には、誰もが気軽に農業体験を楽しめる場所にしたいと考え、駐車場から園内まで段差をなくし、トイレや休憩スペースも車いす対応にするなど、細部にまでこだわりが感じられます。
スタッフのサポート体制も充実しており、初めて訪れる方でも安心してぶどう狩りを楽しめます。「自分が困った経験があるからこそ、同じように不便を感じている方の気持ちが分かる」という智美さんの言葉に、この農園に込められた想いが表れています。
『福田ぶどうマルシェ』へのアクセス情報
- 住所:群馬県沼田市発知新田町381-3
- 営業期間:9月上旬〜10月上旬
- 営業時間:平日9:00〜16:00、土日祝9:00〜17:00
- アクセス:沼田駅から車で約20分
沼田ICから車で約10分 - 駐車場完備
- バリアフリー対応の駐車スペースあり
観光農園として東京からのアクセスの良さにもこだわって場所を選んだという福田夫妻。練馬から車で2時間圏内という立地は、都会の喧騒を離れてゆっくりとぶどう狩りを楽しみたい方々にとって、まさに理想的な距離感です。
まとめ
福田夫妻の挑戦は、単なる就農から、社会的な意義を持つ取り組みへと発展。智美さんは「この畑から少しでも可能性が広がれば」と語ります。
それは、障がいを持つ人々への就労支援や、農業体験を通じた新たな可能性の開拓など、さまざまな夢を包含したもの。
苦難を乗り越えて実現した「福田ぶどうマルシェ」は、まさに二人の夢と希望が実を結んだ場所。そこには、誰もが楽しめる農業の新しい形があります。
季節限定の営業ではありますが、ぜひ一度訪れて、福田夫妻が育てた甘いぶどうと、温かなおもてなしを体験してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。