病気をきっかけに人生が一変し、わずか3年でコーヒーの世界チャンピオンになった男性がいます。その人物こそ、2016年にWorld Brewers Cupでアジア人初の優勝を果たした粕谷哲(かすや てつ)さん。
彼の人生は、まさに「人生、何が幸いするかわからない」という言葉を体現したもの。1型糖尿病という病で突然の入院を余儀なくされた時、誰が彼がコーヒーの世界で頂点に立つことを想像できたでしょうか。
粕谷さんは今、千葉県を拠点に自身のコーヒーショップを展開し、世界中でセミナーを行い、次世代のバリスタ育成にも注力。彼の生き方には、挑戦し続けることの大切さと、人生の思わぬ転機を受け入れる柔軟さが見事に表れています。
本記事ではそんな粕谷さんのプロフィールと経歴を辿りつつ、現在経営している3店舗の情報について紹介します。
- 粕谷哲さんのプロフィール
- 粕谷哲さんの家族
- 粕谷哲さんの経歴
- コーヒーに対するこだわり
- お店情報
バリスタ、粕谷哲(かすや てつ)さんについて興味のある方は、是非ご覧ください。
粕谷哲さんのプロフィール
プロフィール
- 名前 :粕谷哲(かすや てつ)
- 生年月日:1984年12月13日
- 年齢 :40歳(2024年時点)
- 出身 :茨城県美浦村
- 趣味 :靴磨きと写経
- 肩書 :PHILOCOFFEA社長
幼い頃から物事に集中して取り組むことが好きだった粕谷さん。知恵の輪のような一人で黙々と取り組める遊びを好み、問題解決型の思考を自然と身につけていきましす。この経験は、後に粕谷さんが開発する「4:6メソッド」というコーヒーの抽出方法にも反映。
複雑な要素が絡み合うコーヒーの抽出を、誰もが理解できるシンプルな法則に落とし込む。その思考プロセスには、幼少期からの問題解決型の思考がきっと活かされているはずです。
大学院卒業後はITコンサルタントとして活躍していましたが、2011年の東日本大震災後、2ヶ月間のボランティア活動に参加。この経験が彼の死生観を大きく変え、自分の人生の意味を深く考えるきっかけとなりました。
その後、1型糖尿病を発症し入院。この時の経験と震災でのボランティア経験が重なり、人生は大きく動き始めます。
学歴(大学)
- 大学:青山学院大学大学院修了
思春期に「頑張ることは格好悪い」と思っていた時期があったという粕谷さん。しかし、大学受験での成功体験は、彼の人生観を大きく変えたはず。
大学在学中に打ち込んだアルペンスキーは、一瞬の判断と正確な技術が求められる競技。これは後のコーヒー抽出における緻密な温度管理や時間管理と共通点がある?
粕谷哲さんの家族
- 病院で出会った栄養士の奥様と結婚
- 息子さんの名前は「曉(あき)」
粕谷さんの人生において、1型糖尿病という試練は、実は人生最大の贈り物となりました。入院後の通院先で栄養士として働いていた現在の奥様と出会い、結婚。
「病気は得るものばかりでした」という粕谷さんの言葉には、深い感謝の思いが込められています。
さらに、待望の息子さんが誕生。名前の「曉」には、「この世界を照らす光」という願いが。インスタグラムでは「その名の通り、この世界を照らす光、とまでいかなくても、俺たちの人生を照らしてくれる存在です」と語っており、家族への深い愛情が感じられます。
今では、幸せな家庭を築きながら、世界的なバリスタとしても活躍。病をきっかけに出会った妻、そして息子さんとの日々が、粕谷さんの原動力となっています。
粕谷哲さんの経歴
- 大学院卒業後、ITコンサルタントとして勤務
- 2012年に1型糖尿病を発症し入院
- 2013年からコーヒー業界に転身
- 2016年World Brewers Cup で世界チャンピオン
- 現在は自身の会社PHILOCOFFEAを経営
入院生活で、粕谷さんは人生を変える二つの宝物と出会います。一つは現在の奥様、そしてもう一つがコーヒーでした。
入院中、糖尿病患者でもコーヒーが飲めると知った粕谷さんは、近くの「サザコーヒー」に向かいます。そこで彼は、ドリッパーからサーバーまで、コーヒーを淹れるための道具一式を全て購入。
しかし、初めて自分で淹れたコーヒーは「すごくまずい」ものでした。この失敗体験こそが、粕谷さんをコーヒーの世界へと導くきっかけとなります。
なぜまずくなったのか。その「なぜ?」という問いが、彼の探究心に火をつけたのです。
持て余していた入院時間は、コーヒーについて考え、実験する時間へと変化。後に彼は「その原因がすぐにわからなかったのが面白かった」と語っています。この言葉から感じるのは、失敗を恐れず、そこから学びを見出そうとする姿勢。
そして退院後、粕谷さんは人生を大きく変える決断をします。イギリスでのワーキングホリデーを目指していましたが、抽選に外れたことをきっかけに、2013年、つくば市の「コーヒーファクトリー」でバリスタとしての道を歩み始めたのです。
ここから彼の快進撃が始まります。わずか3年後の2016年、World Brewers Cupでアジア人初の世界チャンピオンに。そして現在は、自身のコーヒーショップPHILOCOFFEAを経営しながら、世界中でセミナーを行い、次世代のバリスタ育成にも力を注いでいます。
このように、入院という危機が、人生最大の転機となった粕谷さん。「病気は得るものばかり」という彼の言葉には、妻との出会いだけでなく、コーヒーとの運命的な出会いも含まれているのかもしれません。
コーヒーに対するこだわり
- スペシャルティコーヒーにこだわりすぎない柔軟な姿勢
- 常に世界の最先端に触れ続ける努力
- コーヒーを通じて特別な体験を提供する姿勢
粕谷さんの特徴は、「スペシャルティコーヒーこそがすばらしい」という考えを固定観念を持っていないという点。彼にとって「コーヒーはコーヒー」なのです。
だからこそコンビニのコーヒーの仕事も引き受ける。彼にとってコーヒーは、人々の暮らしを豊かにするための手段なのです。
また、「世界一」という肩書きに甘んじることなく、「常に自分自身が世界の最先端に触れる」努力を継続。世界大会で優勝した後も、毎年どこかの国のコーチとして大会に参加し、バックヤードで優勝者のコーヒーを飲み、その意図や味わいについて直接話を聞いています。
粕谷さんの考える理想のコーヒーとは、「水のように飲めるけど、恍惚感のあるフレーバーが感じられて、甘さの余韻で終わっていく」もの。
この独特な表現からは、コーヒーを通じて究極の飲み物を追求する求道者としての姿が見えてきます。
お店情報
PHILOCOFFEA シャポー船橋店
- 住所:千葉県船橋市本町7-1-1 シャポー船橋南館内1階
- 営業時間:10:00-21:00
- アクセス:JR船橋駅シャポー口改札から30秒
PHILOCOFFEA プラッツ習志野店
- 住所:千葉県習志野市本大久保3-8-21 プロシード京成大久保
- 営業時間:10:00-18:00
- アクセス:京成大久保駅改札より徒歩1分
PHILOCOFFEA 201
- 住所:千葉県船橋市本町2-2-13 滝口ビル2階
- 営業時間:10:00-18:00(BAR TIME 火曜 18:00-23:00)
- アクセス:京成船橋駅改札より徒歩5分
各店舗は単なるコーヒーショップではなく、「あらゆる場所のあらゆる人々の暮らしを豊かにする」という理念を体現する場所として運営。
特にプラッツ習志野店では、カフェインレス対応やベビーカーでの来店にも配慮するなど、誰もが気軽に立ち寄れる工夫が施されています。
まとめ
粕谷哲さんの人生からは、危機を転機に変える可能性について考えさせられます。
1型糖尿病という予期せぬ出来事が、彼に新たな人生の扉を開き、そして、わずか3年という短期間で世界チャンピオンに。
そこにある教えは、日常で見つかる好奇心のかけらを無駄にしないこと。
現在も世界大会のコーチとして活動を続け、常に学び続ける姿勢を貫く粕谷さん。彼の生き方は、人生における挑戦の大切さと、その過程で得られる気づきの価値を私たちに教えてくれます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。