アンナ・ソローキンのプロフィール・生い立ち!現在は?【女詐欺師】

2010年代、ニューヨークの社交界を震撼させた女性がいました。彼女の名は、アンナ・ソローキン。ドイツの資産家令嬢「アンナ・デルヴェイ」を名乗り、上流階級の人々を巧みに騙し続けた彼女の物語は、Netflixドラマ「令嬢アンナの真実」として世界中で話題となりました。

今回は、この女性詐欺師の実像に迫ります。なぜ彼女は詐欺を働くことになったのか。そして現在、彼女はどのような生活を送っているのか。アンナ・ソローキンの知られざる素顔に迫ってみましょう。

この記事でわかること
  • アンナ・ソローキンのプロフィール・生い立ち
  • アンナ・ソローキン詐欺事件の内容
  • 詐欺を始めるきっかけ
  • 逮捕・判決
  • アンナ・ソローキンの現在

「令嬢アンナの真実」のモデルとなった詐欺師、アンナ・ソローキンについて興味のある方は、是非ご覧ください。

目次

アンナ・ソローキンのプロフィール・生い立ち

  • 本名  :アンナ・ヴァディモヴナ・ソローキン
  • 生年月日:1991年1月23日
  • 国籍  :ロシア、ドイツ(二重国籍)
  • 出身  :ロシア・モスクワ近郊のドモジェドヴォで誕生
         2007年(16歳)、家族でドイツに移住
  • 学校  :ドイツでは、エシュバイラーのカトリック系文法学校に通学
         2011年セントラル・セント・マーチンズ美術学校に入学するも中退
  • 両親  :父親/トラック運転手のヴァディム・ソローキン
         母親/小さなコンビニ経営
  • 職歴  :ベルリンの広報会社でインターン
         パリのファッション誌「Purple」でインターンを経験

アンナが生まれ育ったドモジェドヴォは、モスクワの衛星都市として知られる労働者階級の街。ソビエト連邦崩壊後のロシアで、決して裕福とは言えない環境で育った彼女は、幼い頃から現状に満足できない性格だったと言われています。

特筆すべきは、彼女の知的能力の高さです。学校では優秀な成績を収め、特に言語の習得に長けていました。ロシア語はもちろん、ドイツ語、英語、フランス語を操り、その能力は後の詐欺事件でも大きな武器となります。

2007年のドイツ移住は、アンナの人生の大きな転換点。父親は運送会社の役員として転職し、一見すると上昇志向の強い中流家庭の典型的な成功物語に見えました。しかし、実際には移民としての苦労が待っていたのです。

エシュバイラーの学校での日々は、決して楽なものではありませんでした。クラスメートたちからは「ロシアなまりのある話し方」を馬鹿にされ、服装や持ち物の質素さを理由にいじめを受けることも。この経験が、後の彼女のブランド志向や見栄を張る性格の形成に影響を与えたと考えられています。

そんな中で、アンナが没頭したのがファッション雑誌の世界。特にVOGUEには強い執着を示し、毎号欠かさず読んでいたと言われています。また、ファッションブログやLiveJournal、Flickrなどのプラットフォームで、憧れのライフスタイルを追いかけ続けました。

2011年、アンナはロンドンのセントラル・セント・マーチンズ美術学校への入学を果たします。この学校は、アレキサンダー・マックイーンやステラ・マッカートニーといった著名デザイナーを輩出した名門美術学校。

しかし、彼女はすぐに中退。その理由について、後に「アートの理論よりも実践的なファッションビジネスに興味があった」と語っています。

その後のベルリンでの広報会社インターン、パリでのPurple誌でのインターン期間は、彼女にとっての転機。ここで彼女は、憧れていたファッション業界の内側を初めて体験。同時に、業界の重要人物たちとのコネクションを築き始めます。

特にPurple誌での経験は、後の詐欺事件に直接つながっていきます。月給わずか400ユーロ(約5万円)のインターンでしたが、この時期に彼女は「アンナ・デルヴェイ」という偽名を使い始め、裕福な家族を持つ令嬢としてのペルソナを確立していったのです。

両親との関係も複雑でした。家賃の援助は受けていたものの、頻繁な連絡は取っていなかったとされています。興味深いことに、彼女が名乗った「デルヴェイ」という姓について、両親は「母親の旧姓に基づいている」という娘の説明を真っ向から否定しています。

このように、アンナ・ソローキンの生い立ちには、後の詐欺事件の伏線とも言える要素が数多く存在。社会的地位への強い憧れ、卓越したコミュニケーション能力、そして現実と虚構の境界線を自在に操る才能。これらは全て、彼女の複雑な成長環境の中で培われていったのです。

アンナ・ソローキン詐欺事件の内容

アンナ・ソローキンが詐欺行為を本格的に始めたのは22歳の時、2013年のことでした。27歳で逮捕されるまでの約4年間、彼女は「アンナ・デルヴェイ」として、ニューヨークの上流社会で完璧な詐欺師を演じ続けました。

詐欺行為とその手口

  • 詐欺総額:25万ドル超(約3,000万円)
  • 被害期間:2013年〜2017年(22歳〜27歳)
  • 主な被害者:銀行、高級ホテル、航空会社、個人投資家、友人

アンナが選んだターゲット層は、まさにニューヨークの上流社会の中核。

  • 社交界での活動内容(2013年〜2017年)
    • 高級クラブやレストランへの頻繁な出入り
    • セレブリティとの交流(マコーレー・カルキンやマーティン・シュクレリとの接点)
    • 芸術関係者とのネットワーク構築
    • ファッション業界の重要人物との関係構築

アンナは、人々の心理を巧みに操る特別な才能も持っていました。

  • FOMO(Fear of Missing Out)の利用
    • 「大物投資家との会食がある」など、相手に機会損失への不安を煽る
    • 「すぐに送金される大金」という幻想を振りまく
    • 周囲に「この機会を逃すまい」という焦りを生じさせる

  • 権威性の演出
    • 高級ホテルのスイートルームを「仮の事務所」として使用
    • 有名人の名前を頻繁に会話に織り交ぜる
    • 高級ブランドの完璧な着こなし

  • 逆転の発想による信用獲得
    • 時には支払いを確実に行い、信用を構築
    • 小額の支払いは確実に行い、大きな詐欺の地固めに利用
    • スタッフへの破格の心づけで、疑いの目を逸らす

主要詐欺事件

1. 銀行詐欺(2016年)

  • シティ・ナショナル銀行に2,200万ドルの融資を申請
    • スイスの銀行に6,000万ユーロの資産があると偽装
    • Microsoft Wordで偽造した銀行取引明細書を使用
    • 「ピーター・ヘネケ」という架空のビジネスマネージャーを創出

  • 10万ドルの当座貸越枠を獲得
    • 実在しない送金を装い、銀行から現金を引き出す
    • 複数の口座間で不正な資金移動を繰り返す

2. 高級ホテル詐欺(2017年)

  • 11ハワードホテル(1泊400ドル)での長期滞在
    • 3ヶ月の滞在で約3万ドルの未払い
    • スタッフへの高額チップで信用を獲得
    • 高級レストラン「ル・クークー」での豪遊

  • マーサーホテル、ビークマンホテルでも同様の手口
    • クレジットカード情報の登録を巧妙に回避
    • 「送金中」を装い、支払いを先延ばし
    • 高額な商品やサービスを部屋付けで購入

3. モロッコ詐欺事件(2017年、26歳時)

この事件は、彼女の詐欺の中でも特に悪質なケースとして知られています。

  • 被害者:親友のレイチェル・デローチ・ウィリアムズ
  • 被害額:62,000ドル(約870万円)
  • 手口の詳細:
    • 「全額負担」の豪華旅行に友人を招待
    • ラ・マムーニア(5つ星ホテル)に宿泊(1泊7,000ドル)
    • クレジットカードが使えないと偽り、友人に支払いを要求
    • 「すぐに送金する」と約束するも、実行せず
    • 結果的に友人は借金を抱えることに

4. プライベートジェット詐欺(2017年、26歳時)

  • ブレイド・エア・モビリティを騙した35,390ドルの詐欺
    • ドイツ銀行からの偽造送金確認書を使用
    • ウォーレン・バフェットに会うという名目でオマハへ
    • 有名投資家との面会を装い、信用を獲得

詐欺・成功の秘密

  1. 完璧な演技力
    • 上流階級の作法や話し方を完全に習得
    • 高級ブランドの正確な知識
    • 流暢な英語とヨーロッパなまりを巧みに操る

  2. 人間関係の巧みな操作
    • 富裕層との人脈を戦略的に構築
    • 高額なチップや贈り物で周囲を懐柔
    • SNSでの巧妙なイメージ戦略

  3. 緻密な偽装工作
    • 精巧な偽造書類の作成
    • 複数の銀行口座を使った資金操作
    • 架空の資産家設定の一貫性維持

特筆すべきは、彼女の詐欺が単なる金銭目的ではなかったという点です。「アンナ・デルヴェイ財団」という会員制アートクラブの設立を本気で目指しており、そのために必要な資金と信用を得るための手段として詐欺を働いていました。

彼女は6階建て、45,000平方フィートの「チャーチ・ミッション・ハウス」の借り入れ交渉まで進めており、著名アーティストのダニエル・アーシャム、ウルス・フィッシャー、ダミアン・ハーストらの作品を展示する計画まで立てていたのです。

このように、アンナ・ソローキンの詐欺事件は、単なる金銭詐欺ではなく、アメリカンドリームの歪んだ追求とも言える様相を呈していました。

そして、22歳から27歳という若さで、これほど大規模な詐欺を成功させた彼女の才能が、皮肉にも彼女を破滅へと導くことになったのです。

詐欺を始めるきっかけ

アンナ・ソローキンが詐欺師への道を歩み始めたのは、2011年のパリでのこと。ファッション誌「Purple」でのインターン経験は、彼女の人生を大きく変えることになります。月給わずか400ユーロという低賃金ながら、そこで目にした華やかな世界は、移民として苦労してきた彼女の心を強く捉えました。

彼女は「アンナ・デルヴェイ」という新たな人格を創造。ドイツの裕福な家族の一員という設定は、完璧な上流階級の作法とヨーロピアンアクセント、そしてSNS上での巧みなイメージ戦略によって築き上げられていきます。

2013年、ニューヨークに渡ったアンナのさらに大きな野望は、「アンナ・デルヴェイ財団」という会員制アートクラブの構想。6階建ての歴史的建造物に、世界的アーティストの作品を展示する壮大な計画。これは単なる金儲けの手段ではなく、アート界での地位確立を目指した、彼女なりの野心の表れだったのです。

移民としての疎外感、階級社会への反発、そしてSNS時代特有の「見せかけの人生」への執着。これらが全て、彼女を詐欺へと駆り立てる要因となったのです。

逮捕・判決

華やかな詐欺劇は、2017年10月3日、ロサンゼルスで幕を閉じました。アンナ・ソローキンが逮捕された時、彼女は高級リハビリ施設「パッセージズ・マリブ」に滞在中。皮肉にも、この逮捕には彼女が最も信頼していた友人が協力していました。

逮捕までの経緯

  • 逮捕日:2017年10月3日
  • 逮捕場所:ロサンゼルス
  • 逮捕の手法:
    • ニューヨーク市警とロサンゼルス市警の共同作戦
    • 友人による施設外での昼食への誘い出し
    • 施設を出た瞬間の身柄拘束

マンハッタンの地方検事サイラス・ヴァンス・ジュニアが召集した大陪審による起訴内容は、アンナの詐欺行為の全貌を明らかにするものでした。

主な起訴事実

  • シティ・ナショナル銀行への不正融資申請
  • フォートレスへの詐欺的融資申請
  • 複数の小切手詐欺
  • モロッコでの高額宿泊費用踏み倒し
  • 各種サービス利用料金の未払い

2019年の裁判は、それ自体がまるでファッションショーのような様相を呈しました。アンナは自身の弁護士に依頼し、毎回の出廷のためにスタイリストを手配。彼女の法廷ファッションは、メディアの大きな注目を集めることになります。

法廷での着用ブランド

  • マイケル・コースのシフトドレス
  • サンローランの透け感のある黒のトップス
  • ヴィクトリア・ベッカムのパンツ
  • その他、多数のデザイナーズブランド

彼女の弁護士は、「全ての借金は返済するつもりだった」と主張し、彼女をフランク・シナトラになぞらえて擁護を試みました。しかし、2日間の審議を経て、陪審員は厳しい判断を下すことになります。

判決の内容(2019年5月9日)

  • 懲役:4年から12年
  • 罰金:24,000ドル
  • 賠償金:199,000ドル
    • シティ・ナショナル銀行:100,000ドル
    • シティバンク:70,000ドル
    • ブレイド航空:未払い額の約3分の2

結果として、これらの支払いはNetflixとの契約金(320,000ドル)から捻出されることになりました。

収監後の状況

  • 収監施設:ベッドフォードヒルズ女性矯正施設~アルビオン矯正施設
  • 服役期間:約2年(2021年2月に仮釈放)

判決を前に行われたインタビューでの、「何かについて申し訳ないと思ったら、あなたにも他のみんなにも、そして自分自身にも嘘をついていることになる」という彼女の言葉は、最後まで反省の色を見せない彼女の本質を如実に表していました。

こうして、ニューヨークの社交界を震撼させた「偽りの令嬢」の物語は、冷たい刑務所の鉄格子の中で、一旦の終わりを迎えることになったのです。しかし、これは彼女の物語の終わりではなく、新たな章の始まりに過ぎませんでした。

アンナ・ソローキンの現在

2021年2月11日、約2年の服役を経て仮釈放されたアンナ・ソローキンは、まるで何事もなかったかのようにニューヨークの高級ホテル、ノマドにチェックイン。しかし、彼女の自由な生活は長くは続きませんでした。

わずか6週間後の3月25日、移民関税執行局(ICE)は彼女をビザの超過滞在で拘束。ドイツへの強制送還を待つため、ニュージャージー州の収容施設に収監されることになります。

移民裁判官は「釈放された場合、詐欺や不正行為を続ける能力と傾向を持つだろう」と判断を下しました。

しかし、そんな逆境の中でも、アンナは自身のブランド価値を高めることに成功します。刑務所で制作したアート作品は、驚くべきことに34万ドル(約4,700万円)もの売り上げを記録。

この収益で保釈金を支払い、2022年10月には1万ドルの保釈金で釈放。現在は、マンハッタンのイーストビレッジにある470平方フィートのアパートで、24時間の自宅監禁下での生活を送っています。

「令嬢アンナの真実」について

アンナ・ソローキンの物語は、Netflixで「令嬢アンナの真実」として配信週にNetflix最多視聴を記録するなど、世界中で大反響。

そして、このドラマ化権として、Netflixからアンナに支払われた32万ドルは、皮肉にもその大部分が被害者への賠償金として充てられることになりました。

そして、現在33歳のアンナは、かつての詐欺師としてではなく、アーティストやインフルエンサーとして新たなアイデンティティを確立しつつあります。彼女は度々メディアのインタビューに応じ、米国の刑事司法制度の改革について語るなど、自身の経験を社会的な文脈で語ることも増えています。

まとめ

アンナ・ソローキンの物語は、単なる詐欺事件の域を超え、現代社会の鏡となりました。約25万ドルの詐欺行為が、皮肉にもNetflixドラマ化権だけで32万ドルという正当な収入を生み出したという事実は、私たちの社会が「物語」に与える価値の大きさを象徴。

服役を終えた後、彼女は芸術家やインフルエンサーとして新たな人生を歩み始めています。しかし、その姿勢には依然として反省の色は見られず、むしろ自身の経験を新たなブランド構築に活用。

この事件が私たちに投げかける問いは明確です。SNSで作られる虚像と実態の乖離、成功への過度な渇望、そして見かけだけで信用を与えてしまう社会の脆弱性。これらは全て、現代を生きる私たち自身の課題でもあるのです。

「私はただ、自分の夢を追いかけただけ」というアンナの言葉は、果たして単なる言い訳なのか、それとも現代社会の歪みを指摘する警鐘なのか。その答えは、私たち一人一人が考えていく必要があるのかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

管理人の0107(オトナ)です。

これまでの経歴
・営業・マーケティングの仕事歴30年
・海外での生活10年
・人間心理のエキスパート

自分を支えてきたあらゆる物・人への好奇心。そのアンテナに引っかかった情報を、斜め上からの視点、オトナの視点でまとめて行きたいと考えています。

時事ネタ、芸能・スポーツネタから、お店の情報に至るまで、幅広い情報をわかりやすくまとめていきますので、読者の皆様の情報入手の効率化に役立つことが出来れば、何より嬉しく思います!

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